Wix ADIのレビュー 2024年│最短時間でサイト作成できる？

人工知能を取り入れた高性能ウェブサイトビルダー

1

Wix ADIは、大人気サイトビルダー「Wix」をよりスマートにしたものと宣伝されています。しかし、人工知能を導入することで、本当にもとのビルダーより優れたツールになっているのでしょうか？

Wix ADIがローンチされたのはWixが登場した10年後ですから、まだまだ新しいサービスです。Wixプラットフォームは世界中で1億5000万人以上が利用していますが、「Wix ADIが何なのかイマイチよく分からない」という方もいらっしゃると思います。

まず、ADIはArtificial Design Intelligence（人工デザイン知能）の頭文字を取ったもの。Wixは使いやすさの観点で高く評価されていますが、使いやすさを追求したのがADIなのだそう。簡単な質問にいくつか答えるだけで、パーソナライズされたホームページが自動生成されます。デザインを自分で行う必要は一切ありません。

しかし、完成したホームページの品質が気になります。本当にホームページ作成をAIウィザードに任せても良いのでしょうか？筆者が実際に利用して確かめることにしました。

Wix ADIは無料プランを含むすべてのプランで利用できますが、Wixが提供している機能や特徴をすべて試すため、有料プランに登録しました。この記事では、Wix ADIを使って新しいホームページを立ち上げた体験を説明しつつ、Wix ADIと通常のWixエディタの違いを比較していきます。早速見ていきましょう。

テーマはシンプル。スタイルに合わせて選べる

Wix ADIは効率を重視しています。テンプレートギャラリーを延々とスクロールするのではなく、簡単な質問にいくつか答えるだけでOKです。なお、現在ADIは「写真家」と「飲食店&グルメ」を除くすべてのウェブサイトカテゴリで利用可能です。

次に、ADIがシンプルなテーマを6個提案してくれるので、作成したいサイトの種類をもとに1つ選びます。テーマごとに配色とフォントがあらかじめ設定されていますが、後で手動で変更することも可能です。

最初に選ぶのはホームページのレイアウトです。質問の答えに基づいてADIが3つ自動生成してくれますから、1つ選びましょう。この時点でどれを選ぶべきか悩む必要はありません。テーマとレイアウトは後で簡単に変更できますから、さまざまなデザインの組み合わせを試せます。

Wix ADIエディタを使い始めると、利用可能なテーマは35個以上あることが分かります。最初の段階でたじろがないようにするために、ADIはテーマの選択肢を制限しているのです。

Wix ADIのテーマ一覧はエディタ内で見られます
各テンプレートでカスタマイズできる部分はかなり限られています。ロゴやブランドイメージに合わせて色やフォントを変更したり、フェードやスライドなどのアニメーション効果を追加したり、ヘッダーとフッターのスタイルを編集したりできますが、それ以上のことはできません。

一方、通常のWixテンプレートのほうが自由度がはるかに高く、それを理由にWix ADIではなくWixエディタを使う人が多いようです。しかし、細かい部分をカスタマイズする必要がない場合、Wix ADIのテーマは基本的なビジネスサイトまたは個人サイトに必要な要素をすべて備えています。シンプルですっきりしており、関連性があり、プロフェッショナルな印象を与えます。

また、Wix ADIには大きな強みがあります。Wixのテンプレートとは違い、コンテンツや画像を失うことなく、テーマやレイアウトを好きなだけ変更できるのです。通常のWixエディタでテンプレートを変更すると、サイトを最初から作り直さなければなりません。

Wix ADIでできることは多い。Wixエディタなら可能性がさらに広がる

正直なところ、Wix ADIにはあまり期待していませんでした。特に、基本的なデザインを超えた、一歩先のサイトを作るのに必要なツールや機能はあまりないだろうと思ったのです。しかし、通常のWixエディタの機能の多くはWix ADIでも利用可能であることが分かり、驚きました。

コンテンツ要素でページをカスタマイズしたり、ブログを設定・管理したり、Wix SEO WizでサイトのSEO対策のやり方をアドバイスしてもらったりできます。また、既存のドメインをWix ADIサイトに接続するか、新しいカスタムドメインを作成することも可能です（有料プランのみ）。

最も重要なのは、編集・カスタマイズの段階でWix ADIに縛られなくて済むこと。いつでもWixエディタにワンクリックで切り替えることができ、より多くの機能や編集オプションを活用できます。ただし、一度Wixエディタに切り替えるとADIに戻せないため、通常のエディタを使用する準備ができるまで切り替えないでください。

それでは、Wix ADIプラットフォームで筆者が気に入った機能を詳しく見ていきましょう。

1. パーソナライズされたプロ仕様のデザイン

ADIを使用する際に筆者が気になったことの1つは、サイトの見た目をどれだけコントロールできるかということ。しかし、実際に使った結果、まったく問題ありませんでした。

デザインはそれほど画期的ではありませんが、見た目は良いですし、目的に合わせてカスタマイズされた印象を受けます。下の画像は、マーケティングエージェンシー向けに作成したADIサイトの例です。「大胆で目立つ」外観と雰囲気を狙ったのですが、いかがでしょうか。

デザイン生成だけでなく、Wix ADIはサイト用コンテンツを自動的に作成し、関連性の高いロイヤリティフリー画像を用意してくれます。企業情報やネットで見つかる情報を用いてADIがページにコンテンツを挿入するため、そのままでもサイトを公開できます。

と言いたいところですが、サイト公開前にコンテンツを入念にチェックしなければなりません。AIは重大なミスを犯すことが時々あるからです。

上の画像の会社紹介で「2023年に設立」となっていますが、これは間違いです。とは言え、ミスがあっても自分のテキストと画像を挿入してADIが生成したコンテンツを置き換えるのは簡単です。

2. 構造が整ったエディタ

Wix ADIはドラッグ&ドロップのWixエディタほど自由に編集できるわけではありません。Wixエディタの場合、ページ上の好きな場所に数百種類の要素を配置できますが、ADIエディタではページが「セクション」に分割されており、各セクションにコンテンツブロックと要素があらかじめ設定されています。

Wixエディタと同様、ADIでもセクションをドラッグ&ドロップで追加・移動することは可能ですが、好きな場所に配置することはできません。ページの構造が決まっており、他のセクションの上か下にセクションを追加することになります。セクションを左右に移動することはできません。

ドラッグ&ドロップでページに新しいセクションを追加できます
ADIで利用可能なコンテンツ要素はWixエディタほど多くないものの、画像ギャラリー、動画・音楽プレーヤー、価格表、営業時間、ブログやInstagramフィード、登録フォームなど、多くの基本要素を追加できます。スライドショーやボタン、テーブル、グリッド、フォーム生成ツールはありませんが、問い合わせフォームはADIが自動的にサイトに追加してくれます。

全体的にADIエディタで期待以上のことができました。しかし、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために高度な機能が必要な場合は今一つと感じるはずです。まとめると、Wix ADIはサイトを素早く立ち上げるのに最適ですが、ビジネスやサイトの成長に伴ってより柔軟に編集する必要が出てきた場合はWixエディタへの切り替えを検討しましょう。

3. アプリとインテグレーション機能

Wix ADIには13個のアプリがあり、ブログ、オンラインストア、会員エリア、ライブチャット、フォーラム、予約、イベントなどの追加機能をサイトに追加できます。欲しいアプリをクリックするとインストールされ、Wix ADIが必要なページとセクションをサイトに自動的に追加してくれます。

ADIサイトにアプリを追加できます
WixエディタではWixアプリマーケットから250個以上のアプリが利用可能ですから、ADIで13個しか使えないのは非常に少ないですね。しかし、どれも質が高く、期待通りに動作します。アプリマーケットで入手できるサードパーティ製アプリは必ずしもきちんと動作するとは限りません。

今後追加して欲しいアプリとして、フォームビルダーアプリ、アナリティクスまたはパフォーマンス追跡アプリ、人気のあるSEO対策アプリ「Site Booster」などが挙げられます。これらを使いたい場合、ADIからWixエディタに切り替えなければなりません。

4. Eコマース

どのADIサイトにも、ボタンをクリックするだけでネットショップを追加できます。オンラインストアアプリをインストールするだけで、即座にショップページ、商品ページ、ショッピングカート、サンキューページが作成されます。

商品ギャラリーは複数のプリセットレイアウトから選べますが、それ以上の編集は不可能です。一方、Wixエディタではグリッドやスライダーの商品ギャラリーなど、はるかに多くのオプションがあります。

オンラインショップを立ち上げた後、Wix ADIでもWixエディタと同じように管理できます。メインダッシュボードから商品を追加してコレクションに整理したり、支払い方法と配送地域を設定したり、注文とカゴ落ちを追跡したりできます。

ADIサイトで注文と支払いを受け付けるには、WixのEコマースプランが必要です。隠れたコストはありません。販売手数料は100%無料です。

一からのサイト構築がここまで簡単なビルダーはない！

WeeblyやSimpleSiteなど、他のウェブサイトビルダーについても同様のことを述べてきましたが、Wix ADIは本当に「使いやすさ」を再定義しています。AIを活用してデザインすることで、カスタムサイトやカスタムオンラインショップが短時間で簡単に完成します。

初心者や時間がない方にはWix ADIが最適です。ページ上の各要素の使い方を調べる必要はありません。もっと柔軟に編集する必要が出たらWixエディタに容易に移行できます。

ここでは、Wix ADIが初心者におすすめな理由を紹介します。

1. ホームページの立ち上げはおまかせ

画面左側の「今すぐはじめる」をクリックし、7つのステップを踏むとWix ADIがあなたの目的に合わせてサイトを構築してくれます。次のような質問を聞かれます。

• 作成したいサイトの種類は？一覧から選ぶか、自分の言葉で説明することができます
• 新しいサイトに必要なものは？おすすめのアプリ（ブログやオンラインショップなど）からサイトに追加したいものを選びましょう。
• サイト・ビジネス・ブログの名前は何ですか？ブランド名または個人名を入力します。

次に、6個のテーマから好きなものを選ぶよう求められます。テーマによってサイトの配色とフォントが決まります。あとは3つのオプションからホームページのデザインを選ぶだけで完了です！あなたのサイトは準備が整いました。なお、上記のステップスキップすることも可能ですが、提供する情報が多いほど、正確で関連性の高いデザインとコンテンツになります。

2. 簡易化されたページビルダー

ADIエディタを使って、サイトのデザインを微調整したり、新しいページを作成したりできます。従来的なWixエディタはデザイン要素が数千個あるため初心者は圧倒されがちですが、ADIはそれを簡易化したものとなっています。Wixエディタとは異なり、Wix ADIは対応言語が限られていますが、幸い日本語で利用可能です。

ADIではドラッグ&ドロップでセクションを追加し、ポイント&クリックで各セクションのデザインと設定を編集していきます。プラットフォームは直感的で明確なレイアウトで、セクションをクリックするだけでカスタマイズできます。「追加」メニューをクリックすると、新しいページ、セクション、アプリ（オンラインストアやブログなど）をサイトに追加できます。

Wix ADIがサイトに挿入した画像が気に入らなかった場合、画像をホバーして「置き換える」をクリックすると、独自の画像をアップロードするか、ロイヤリティフリーの画像ライブラリから選択できます。「調整」をクリックするとWixフォトスタジオに移動します。これは使いやすい画像編集ツールで、フィルターの追加、トリミング、シャープネス調整、補正などを簡単に行えます。

3. ステップバイステップガイド

Wix ADIほど簡単なホームページ作成ツールはありません。クリックすればすぐに使い方が分かるはずです！分からないことが合った場合、ADIエディタの画面右下にある青い「？」マークをクリックすると、サイト作成中にヘルプ記事を参照できます。インタラクティブなツアーもあり、テーマやレイアウトの変更、コンテンツの編集、ドメインの接続などのやり方をADIが教えてくれます。

Wix ADIのガイドはWixエディタより少ないですが、その理由はWixエディタの機能や特徴が多いためです。正直なところ、Wixエディタでは「ヘルプ」がページ中央に表示され、作業中に何度も移動しなければならないので迷惑だと思いました。一方、ADIのヘルプはサイドバーに固定されており、編集を妨げません。

カスタマーサポートは見つけにくい。見つければ悪くない

WixヘルプセンターにはADI専用エリアがあり、「始め方」から「SEO」まで14の大カテゴリがあり、それぞれ約12個の記事があります。質問がある場合、まずはヘルプセンターを確認しましょう。ライブエージェントに問い合わせるのは簡単ではないからです

Wixのお問い合わせフォームは隠されているため、「サポートチームに連絡してほしくないのでは？」という印象を受けました。ヘルプセンターの一番下までスクロールして「Wixカスタマーケアへのお問い合わせ」という記事を見つけなければならず、そこで初めてサポートチームにチケットまたは電話で連絡するリンクが見つかります。

チケットサポート

米国、ロシア、韓国など一部の国では、24時間365日いつでもチケットを送信して、ライブエージェントからのメールで返信してもらえます。米国旅行中にADIでネットショップの設定方法を尋ねたところ、約4時間後に詳しい回答が届きました。担当者はスクリーンショットを交えて手順を説明し、次にやるべきこともアドバイスしてくれました。

定型文のように感じましたが、かなりシンプルな質問だったので許容範囲内ですし、返信は比較的早く届きました。「私の名前くらい使ってくれれば良いのに」とは思いましたが。

2回目にチケットを送信した際はADIサイトがモバイルレスポンシブ対応かどうか質問しました。約15分で返信が届き、今回もサポート担当者は非常に丁寧でした。私の名前を呼んでくれましたし、私のアカウントのスクリーンショットを交えて回答してくれたので非常に助かりました。

ライブチャット

カスタマーサポートに問い合わせるにはチャットが一番ですね。Wixはライブチャット窓口があり、営業時間内（月曜～金曜、日本時間午後4時～午前8時）に英語で担当者とやり取りできます。リアルタイムで必要な回答が得られるのは大きなメリットです。

電話サポート

Wixは典型的なコールセンターはありません。代わりにコールバックサービスがあり、日本語、フランス語、英語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、ドイツ語、オランダ語、ヘブライ語、トルコ語で、サイトに記載されている時間内に折り返しの電話をリクエストできます。

電話番号と発生した問題の簡単な説明を入力したら、スマホに送信される認証コードを入力する必要があります。請求について質問したところ、1分以内に折り返しの電話がかかってきました。

すぐに応答してくれたのは素晴らしいですが、残念ながら、電話をかけてくれる担当者は回答する準備ができているとは限りません。私の問い合わせに対応した担当者は質問を読み返し、ヘルプセンターを確認したのですが、そこで回答が見つからなかったので、約5分間保留にした後で必要な情報を教えてくれました。

全体的に電話サポートはまあまあ良かったですし、最終的に質問に答えてもらえました。しかし、コールバックサービスは無駄に複雑に感じます。結局待たされるのであれば、直接電話できたほうが簡単かもしれません。

多様なプランがあり、予算に合わせて選べる

Wix ADIは、7つのWixプレミアムプランすべてで利用可能で、無料プランでも利用できます。

無料プランはWixのプラットフォームを使い慣れるためには役立ちますが、永久に無料版を使い続けることはないはずです。サイトのすべてのページにWixのブランディングが表示されますし、独自ドメインではなくWixのサブドメインが使用することになるからです。

よりプロフェッショナルなサイトにしたい場合、独自ドメインを選んでWixのブランディングを削除できるように、有料プランにアップグレードする必要があります。また、プレミアムプランに登録しない限り、Eコマース機能を利用してオンライン決済を受け付けることはできません。

Wixのプランについて詳しくはWix料金プランの完全ガイドをご覧ください。

解約と返金

プレミアムプランはすべて14 日間返金保証付きです。メインダッシュボードで「プランを管理」をクリックすると、プレミアムサブスクリプションを確認できます。

次に、解約したいプランのメニューを開き、「自動更新をオフ」を選択します（右上の横3点リーダーボタンをクリックするとドロップダウンメニューに表示されます）。

解約を確認し、理由を選ぶよう求められます（ドロップダウンメニューからオプションを1つ選択してください）。「自動更新をオフにする」をクリックすると、プランはすぐに無料版にダウングレードされ、20営業日以内に全額返金されます。