SugarSyncのレビュー 2025年│料金が高いですが、評判は？

シンプルなクラウドバックアップサービスなのに高価格？

SugarSync（シュガーシンク）などのクラウドバックアップは「量より質」で良いのでしょうか？ストレージ容量が少なく、機能があまり充実していなくても、高性能なら構わないという方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、SugarSyncを徹底検証した結果、懸念点がいくつか見えてきました。

もちろん、クラウドストレージサービスの機能が多ければお金を投じる価値があるとも限りません。「パソコンやスマホの音楽や写真をバックアップしたい！」SugarSyncはそのような基本的なニーズにしっかり応えてくれるサービスです。

しかし、写真や音楽をバックアップした直後にファイルにアクセスしたい場合、SugarSyncのモバイルアプリでしかメディアプレーヤーを利用できません（デスクトップアプリやウェブアプリにはメディアプレーヤーが搭載されていないのです）。また、SugarSyncは端末数が無制限のはずですが、iPhotoライブラリを同期したい場合は一度に1台のデバイスでしか同期できません。

今回の調査で、SugarSyncには以上のようなデメリットが見えてきたのです。「端末によっては一部の機能が利用できない」ということに疑問を感じました。大した欠点ではありませんが、些細なことでも不便な点があるなら、そのことが料金に反映されるべきではないかと思ったのです。SugarSyncはコストが高めですから、不便なところがあるのは残念です。

価格が高いことを踏まえたうえで、この完全レビューではファイルの同期速度やセキュリティ機能などを検証しました。上記以外の不便な点も指摘していきます。

結論から言うと、より低価格でSugarSyncと同じようなサービスを利用したいのであれば、iDriveやBackblazeの方がおすすめです。とは言え、SugarSyncには利点もいくつかありますから、詳しく見ていきましょう。

SugarSyncのクラウドバックアップ・同期はファイル容量が無制限

SugarSyncのオンラインバックアップやファイル共有サービスは宣伝通りです。また、多数のサードパーティアプリと連携できるサービスが欲しい場合も、SugarSyncは有力候補でしょう。

SugarSyncは、JotForm、Google Drive、Asanaなどの仕事効率化ツールや自動化ツールと連携できるため、仕事での利用におすすめです。例えば、Microsoft OutlookのプラグインをSugarSyncアカウントに接続すれば、メールで送信できない大容量ファイルも共有できます。

では、バックアップ、データの復元、セキュリティ、リモートワイプという4つの重要な機能について詳しく見ていきましょう。

バックアップ

アカウントにファイルやフォルダを追加すると、変更や編集がSugarSyncに直ちにバックアップされます。データは確実にバックアップされ、ネット上に保存されるわけです。

さらに、「保護されているフォルダ」を作成すると、スケジュールを設定して定期的にバックアップできるので安心です。通常はファイルが5世代まで保存されますが、保護されているフォルダは12世代まで保存されます。ただし、世代ごとに容量がカウントされるので、ストレージ容量に注意しなければなりません。

また、SugarSyncではバックアップがファイルやフォルダ単位で行われます。ハードディスク全体はバックアップできません。

SugarSyncのビジネスプランでは、クラウドバックアップの他にもNAS（ネットワーク接続ストレージ）にも対応しています。

データの復元

前世代のファイルを復元するのは簡単で、保護されたフォルダではより多くの世代を管理できるのも気に入りました。誤ってファイルを変更した場合、どのファイルを復元するか選べるのが便利でしょう。

削除したファイルやフォルダは「削除済みアイテム」フォルダに移動され、デスクトップアプリやモバイルアプリでアクセスできます。SugarSyncでは削除したアイテムが最大30日間保持されますから、誤って削除しても30日以内に気付けば元に戻せるので安心ですね。

セキュリティ

SugarSyncはセキュリティ機能が惜しいと思います。アプリやソフトでは少なくとも2段階認証が欲しいところですが、SugarSyncは対応していません。強力なパスワードを設定するのが大切です。

また、プライベート暗号化キーは機密ファイルを共有するときに重要ですが、それも提供していません。BoxCryptorなどの終端間暗号化ソフトと連携すれば問題ありませんが。

以上の通り、SugarSyncのセキュリティ機能は至らない部分もありますが、ファイルはAES 256ビット暗号化で保護されますし、中間者攻撃の対策としてTLSプロトコルを採用しています。さらに、保護されたフォルダを利用すると、万が一ランサムウェア対策の被害に遭った場合、前の世代を復元できるので安心ですね。

リモートワイプ（遠隔操作によるデータの消去）

SugarSyncの「リモートワイプ」は興味深い機能です。遠隔操作により、データを同期している全端末でSugarSyncからログアウトでき、端末からファイルを削除することもできます。

削除されるのは端末上のファイルだけであり、ウェブアプリにはファイルが残っています。ノートパソコンやスマホが盗難に遭った場合、盗まれた端末からデータを削除しておけば、バックアップファイルにアクセスされたり、情報が漏えいしたりする心配はありません。

SugarSyncのアプリはシンプルで直感的に使いこなせる

SugarSyncのデスクトップアプリはきれいでシンプルなデザインです。

フォルダを開くと、パンくずリストが表示されるのでナビゲーションに役立ちます。また、検索ツールでファイルやフォルダを素早く見つけることもできます（削除済みアイテムも検索の対象です）。

一方、ウェブアプリは時代遅れな印象で、一部の機能が利用できません。私は主にデスクトップアプリとモバイルアプリを使用するので、重大な欠点ではありませんでした（モバイルアプリについて詳しくは後ほどご紹介します）。

では、SugarSyncが使いやすいポイントについて詳しく見ていきましょう。

モバイルアプリがデスクトップアプリを補完

モバイルアプリのデザインはデスクトップアプリとほぼ同じです。リンクやメール、アプリなどでファイルを共有できることが共通しています。さらに、両方とも日本語に対応しているので、快適に利用できるでしょう。モバイルアプリには、端末から写真や動画を自動でバックアップできるなどの便利な機能もあります。

ウェブアプリやデスクトップアプリではメディアを再生できませんが、モバイルアプリなら音楽や動画を再生できます。

プラットフォーム間で簡単にファイルを同期・共有

SugarSyncではファイルを簡単に同期・共有でき、バックアップしたフォルダやファイルはウェブアプリやデスクトップアプリ、モバイルアプリで共有できます。

数回クリックしただけで、誰とでもファイルを共有できるのも便利ですね。相手がSugarSyncのアカウントを持っていなくても、メールやリンクで共有できます。また、招待メールで共有する場合、編集権限を与えるか、閲覧のみにするか選択できます。

また、ウェブアプリから直接ソーシャルネットワークにリンクを共有することも可能です。TwitterやFacebookなどに共有することが多いユーザーに便利でしょう。

ファイルのアップロード専用のメールアドレス

SugarSyncの便利な機能の1つとして「電子メールによるアップロード」が挙げられます。SugarSyncのアカウントと紐づいている専用メールアドレスにファイルを送信してバックアップできる機能です。

メールの添付ファイルをバックアップしたい時に重宝するでしょう。バックアップ専用メールアドレスを知っていれば誰でもファイルをバックアップできますから、仕事で多数のユーザーがバックアップサービスを利用する場合に役立ちますね。メールでバックアップしたファイルは、専用フォルダに保存されます。

アカウントの設定

SugarSyncの設定作業は難しくありません。デスクトップアプリをダウンロードする前にネット上でアカウント登録できますし、アプリ内でアカウントを登録することも可能です。いずれにしても、素早くアカウント登録できますから、すぐにサービスを利用し始めることができます。

バックアップの設定も簡単です。アプリを初めて起動したら、メニュー画面でバックアップしたいフォルダを選択し、「保存」をクリックしましょう。ファイルはSugarSync Cloudにバックアップされ、アカウントに紐づいたすべての端末でアクセスできるようになります。

バックアップのスケジュールを設定したい場合は「保護されたフォルダ」を作成し、頻度を選択しましょう（毎日、3日、7日、14日、1か月おきにバックアップできます）。

より簡単にバックアップできるよう、改善点もいくつか見えてきました。アップロードやダウンロードの進捗状況、最後にバックアップした日、バックアップにかかった時間などを表示したらさらに便利だと思います。今のところ、アクティビティページに表示されるのはファイルの追加日時だけです。

高速でバックアップ、しかし速度が不安定なことも

SugarSyncのオンラインバックアップの性能を試すため、容量が4.7GBのテスト用フォルダをバックアップしてみました。私はメキシコのサユリタ在住なので、アメリカにあるSugarSyncのサーバーに比較的近いはずです。しかし、SugarSyncはサーバーの設置箇所や台数を公開していませんから、どれくらい近いかはっきりしたことは分かりません。

テストの結果をご紹介する前に指摘しておきたいのは、メキシコでは通信速度が不安定なことがあるということです。特にWi-Fiだと、時間帯によってダウンロードとアップロードの速度が大きく変化します。そのことを念頭に置いたうえで結果をご紹介しましょう。平均でダウンロード速度は18.69Mbps、アップロード速度は7.85Mbpsでした。

平日の午前9時22分に最初のフルバックアップを行ったところ、2時間45分29秒かかりました。ファイルを復元するのは簡単で、数回クリックするだけで復元できました。全データの復元には1時間24分39秒かかりました。かなり遅いですが、アップロード・ダウンロード速度が一番遅い時間帯に復元したからかもしれません。

元のバックアップを削除した後、同日の午後4時56分に同じテスト用フォルダを使って2度目のバックアップテストを行いました。3分以内でバックアップが完了したため、エラーかと思ったほどです。コンピュータを再起動して再度試してみましたが、結果は同じでした。念のため、テスト用フォルダのコピーを作成して、再度バックアップしたところ、今回もちょうど3分39秒で完了したのです。しかし、復元には1時間1分24秒かかりました。今回も一番時間がかかったのは動画ファイルでした。上の写真のキャプションでもご説明した通り、大容量ファイル（動画）は最後にバックアップされたことにご注目ください。

3回目のテストは、土曜日の午後2時18分に行いました。バックアップは55秒で完了し、復元には55分25秒かかりました。55秒でバックアップできたのは驚愕の速さです。

3回のテスト中もパソコンの動作が著しく遅くなることはありませんでした。しかし、SugarSyncのバックアップ中に通信が遅いと感じた場合、デスクトップアプリの環境設定で速度を調整することもできます。

明確なプライバシー方針

SugarSyncは明白なプライバシー方針があり、誰でも理解できるように分かりやすく書かれているのが良いと思います。注目ポイントをピックアップしてご紹介しましょう。

1. SugarSyncがユーザーデータを広告企業に売ることはありません。
2. 不必要にデータを監視することはありません。
3. また、ユーザーの機密情報（人種、民族、政治的意見、宗教的・哲学的な信念、労働組合への加盟、身体的または精神的な健康状態、性生活、実際のまたは申し立てられた犯罪または刑罰、マイナンバー、法律の下で機密だとみなされるその他の情報）を収集・処理することはありません。
4. ユーザーの個人情報は、サービスの提供、収益管理、アンケートの実施、該当する法律の遵守、その他運営上または健康と安全上の理由で使用されます。
5. 法的規制機関、外部顧問、または法的手続きに関連する場合を除き、ユーザーの個人情報を第三者に開示することはありません。
6. アカウントを閉鎖した場合、SugarSyncがユーザーの個人情報を必要以上に保持しないことを約束しています。

米国愛国者法のほか、ファイブアイズ（オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国）、ヨーロッパのプライバシー保護法であるGDPR（一般データ保護規則）にも準拠しています。

カスタマーサポートは便利、平日のみ利用可能

個人プランではヘルプセンターのサポート記事を閲覧できるほか、チャットボット、ライブチャット、メール、チケットの窓口で問い合わせることができます。チケットを送信するとメールで回答が届きます。電話サポートを利用できるのは、ビジネスプランの場合のみです。有料プランでは日本語でカスタマーサポートに問い合わせることもできます。

オフラインでのバックアップ・復元について質問があったため、まずはヘルプセンターの記事を確認しました。関連記事はいくつか見つかったのですが、質問に対する決定的な答えを素早く見つけることはできませんでした。その後、Zapierのチャットボットを試したところ、先ほど自分で見つけたサポート記事を表示しただけでした。

チャットボットが対応できなかった場合、チャットサポートに問い合わせることができます。順番待ちをして、10分後にサポートスタッフに繋がりました。ケンというスタッフが親切に対応してくれました。素早く質問に答えてくれたので大満足です。

また、ケンはSugarSyncのカスタマーサポートの対応時間は平日の午前6時～午後5時（太平洋標準時）だと知らせてくれました。チャット、メール、電話はこの時間帯にしか対応していないそうです。通常、メールは1日以内に返信してくれますが、金曜や月曜にメールを送ると少し時間がかかることも予想されます。

料金は他社サービスより高め

一見すると、SugarSyncのコストパフォーマンスは平均的ですが、CarboniteやiDriveなど、似たようなサービスと比べると、特にビジネスプランはコストパフォーマンスが低いでしょう。

料金体系は分かりやすいでしょう。個人向けプランは3つあり、サービス内容は同じで、利用できる端末数は無制限です。異なるのはストレージ容量だけです。

個人向けバックアッププランで一番安いのはストレージ容量が100GBのプランで、他にも250GBと500GBのプランがあります。

各プランで30日間無料トライアルが利用できます。加入時にクレジットカード情報を入力する必要がありますが、30日が経過するまで課金されませんし、トライアル期間中にいつでも解約できるので安心です。

また、SugarSyncは容量が5GBの無料プランもあり、支払い情報を入力しなくても利用できますが、90日経つと期限切れとなります。90日目以降もアカウントを維持するには、有料プランへのアップグレードが必要です。ウェブアプリから簡単にアップグレードでき、1年目は大幅割引が適用されることもあります。

支払い方法は、Visa、マスターカード、アメリカンエキスプレス、ディスカバーに対応しています。アカウントページから個人プランをアップグレードして容量を増やすこともできます。

スモールビジネスとしてクラウドバックアップを利用するのであれば、SugarSyncのビジネスプランが良いでしょう。3人のユーザーが1TBの容量を利用できます。職員が3人以上の場合は、問い合わせると最大10人のユーザーが利用できるカスタムプランに申し込むことができます。ストレージ容量を無制限にしてもらうことも可能です（有料）。