特長
率直に言いますが、Amazonのような大規模なオンラインショップを制作したい方にWix Storesはおすすめしません。一方、シンプルなECサイトを作るのであれば、Wixは必要な機能をすべて提供しています。 まず、当たり前ですが、ECサイトに製品を追加・削除するという最低限の機能があります。写真をアップロードし、商品名や説明を入力し、価格を設定するだけなのでかなり簡単です。また、すでにECサイトが完成している場合は.csvファイルから製品情報をまとめてインポートすることもできます。 しかし、これだけでは優れたECサイトビルダーとは言えません。実は、Wixにはありとあらゆるeコマース機能があるのです。きれいなECサイト向けテンプレートから在庫管理ツール、多言語サイトや複数の支払い方法への対応、カゴ落ちの復元まで、さまざまな機能が利用できます。 業界最高のeコマースプラットフォームではありませんが、ほとんどのユーザーが満足するオプションやツールが用意されています。 説明するだけでは信じていただけないかもしれませんね。実は、Wixの無料プランでも一部のECサイト向け機能を試してみることができます。ただし、支払いを受けるには最低でもビジネスプランにアップグレードする必要があるので、その点だけご注意ください。 以上を踏まえたうえで、機能や特長について詳しく見ていきましょう。テンプレート
Wixは900種類以上のテンプレートがあり、さまざまなスタイルを網羅しています。少し時代遅れなデザインもいくつかありますが、全体的に魅力的なデザインが豊富です。また、すべてのテンプレートでWix Storeアプリを利用できます。100種類を超えるECサイト向けテンプレートにはStoreアプリがインストールしてありますが、Storeアプリは他のテンプレートでも利用できるのです。 サイトの制作を始めた時点でeコマース用テンプレートを選ばなかった場合、Wix Storeはアドオンとして後からサイトにインストールできます。 つまり、ECサイトではなく、普通のサイトを制作してから「商品を売りたいな」と思ったら、WixアプリマーケットでWix Storeアプリをインストールすれば良いわけです。ほんの数分で完了しますし、インストールが完了したら、ホームページはECサイトに様変わりします。ドラッグアンドドロップエディタで自由に編集でき、編集画面に表示されたサイトがほぼそのまま訪問者に表示されます。 テンプレートはすべて自由にカスタマイズでき(詳しくはWixの完全レビューをご覧ください)、モバイルにも対応しています。 ちなみに、メディアライブラリにはUnsplashのストック画像が100万件以上もあります。ストック画像を商品ページに使用するのはおすすめしませんが、サイトの他の部分で使用したい場合に役立ちます。eコマースツール
Wixではネットショップ自体の管理だけでなく、在庫管理も可能です。製品のバリエーションもアップロードでき、例えば、同じデザインで色違いのTシャツを売ることができます。WixストアだけでTシャツを販売することもできますが、AmazonやeBayなどのマーケットプレイス、インスタグラムなどのソーシャルメディアと連携して販売することも可能です。 海外のお客さんに販売することもできます。多言語サイトを作成でき、複数の通貨で支払いを受けられるのです。通貨換算ツールが搭載されているので、現地の通貨で値段を表示できます。 毎月新しいデザインのTシャツを定期販売するサービスをお考えですか? 斬新なアイデアですよね。サブスクリプション形式のサービスを提供し、定期的に支払いを受けることもできます。1回限りの支払いから定期的な支払いにワンクリックで切り替えることができます。 もちろん、Wixでカスタムドメインを取得するか、他のドメイン登録サービスでドメインを購入して、Wixサイトで使用することもできます。 支払い方法に関して、PayPalやStripeなど50種類以上の決済サービスで支払いを受けることができます。デビットカードやクレジットカード、PayPalの他に、Afterpay、Affirm、Laybuyなど、「今すぐ購入、後で支払い」が可能なサービスにも対応しています。 支払いの途中でカゴ落ちするお客さんもいますよね。リマインダーとして、カゴ落ちを復元するメールを送信できます。 配送オプションも豊富に用意されており、直接配達、通常配送、店頭での受け取りに対応しています。また、自分で在庫を仕入れたくない場合はドロップシッピングも利用できるので、倉庫の管理や在庫分の支払いは不要です。 さらに、お客さんのプロフィールからそれぞれの好みを把握し、より良いマーケティング方法を考えることができます。ただ、Amazonのやり方は見習わない方が良いでしょう。Amazonは最近買ったのと全く同じ商品を宣伝してくるからです。効果的ではありませんから、反面教師として捉えましょう。 プログラマーに朗報です。Wix StoreアプリはAPIがあるので、独自に開発したアプリやインターフェースで商品や注文を管理できます。Wixは意外にもプログラマーに役立つ部分があるのです。eコマースダッシュボード
1つの画面で全機能を利用できたら便利ですよね。Wixのダッシュボードはシンプルで、ネットショップの状況を一目で把握し、改善点を見極めるために役立ちます。 ネットショップを作成し始めるとセットアップガイドが表示され、支払い情報や配達地域、商品など基本的な設定を行えます。 私がWix Storesを利用した時、ダッシュボードはかなり便利だと思いました。 ダッシュボードではECサイトのアクセス解析や売り上げレポートも閲覧できます。誰が何を購入したか、購入額が高いお客さんはどこにいるか、最も人気の商品はどれかを調べることができるスグレモノです。 ECサイトの経営に関して判断する時、ダッシュボードの情報が頼りになります。eコマースアプリ
Wixの機能だけでは物足りない場合、Wixは独自アプリやサードパーティのアプリを数百種類用意しているため、サイトの機能性を拡張できます。eコマース関連のアプリは50種類以上あります。 配達サービスからPayPal・Stripeのボタン、Quickbooksとの連携、オンライン講座の作成・販売など、多種多様なアプリが用意されています。Skillshareで手数料を引かれずにオンライン講座を作りたい場合はWixがおすすめです。ビジネス・マーケティングツールを搭載
サイトのマーケティング、リード獲得、売り上げアップに関する機能がたくさん用意されています。例えば、Wixで基本的なメールマーケティングキャンペーンを実施するのは簡単です。特定の商品に関するメールキャンペーンを商品ダッシュボードから素早く送信できる仕組みになっています。 WixにはSEOツールも満載です。Wix SEO Wizは機械学習を活用して自動的に検索エンジン最適化戦略を生成してくれます。 Facebook広告と連携できるため、Facebookで商品を販売するのに役立ちます。 商品のプロモビデオを自動で生成するツールもあります。アップロードした製品画像とそれに合った音楽で短い動画クリップを作る機能です。 もちろん、ビジネスサイトには何らかのブログが必要です。Wixのブログ機能は多機能なので、ビジネスの最新情報を発信するために役立ちます。使いやすさ
Wixは全体的にとても使いやすいサービスです。初めてサイトを作成する場合は習得するのに少し時間がかかるかもしれませんが、Wixは他社サービスよりかなり使いやすく、柔軟に編集できる点も妥協していません。 サイトの作成だけでなく、ネットショップの管理も行う場合は手間がかかりますが、Wix Storesを使えば容易にECサイトを作成できます。 作業効率化に役立つ機能をご紹介しましょう。自由に編集できるドラッグアンドドロップエディタ
ECサイト制作の難易度はサイトの編集ツールに左右されますが、Wixのサイトエディタは他社より自由度が高いのが特徴です。ドラッグアンドドロップ形式で要素をページに追加、移動できます。 テキスト、画像、フォーム、動画など、要素を自由自在にページに追加でき、サイト全体のフォントや色を素早く変更してテンプレートをカスタマイズすることも可能です。Google Workspace
サイトにはドメイン名を含むメールアドレスが必要ですね。例えば、URLが「myironicshirts.com」なら、メールアドレスは「[email protected]」が良いでしょう。Wixはメールサービスを提供していませんが、追加料金を支払えばGoogle Wordspaceからカスタムドメインのメールアドレスを取得できます。 Google WordspaceはWixに連携されていますから、ドメインを含むメールアドレスの設定は簡単です。ほんの数回クリックするだけで完了します。Wix ADI
Wix ADIとは、サイトの目的や機能についていくつか質問に答えるだけで、サイトをデザインしてくれるツールです。このツールも機械学習を採用していますが、AIと言えるほど賢くはありません。 イメージ通りにサイトを作成したい場合はWix ADIではなく、手作業で作成する方が効率的です。しかし、5~30分程度でネットショップを公開したい場合はWix ADIに任せると良いでしょう。少なくとも、サイトの構造は完成します。eコマースのプロに依頼する
Wixから直接プロに依頼してECサイトの作成を手伝ってもらうこともできます。この有料サービスは試しませんでしたが、時間がない場合は利用する価値がありそうです。 サイト制作をプロに任せられるので、時間を節約でき、効率的です。製品の販売に時間を回すことができますね。アドバイス:Wixでプロに依頼するのはかなり高価格ですから、Fiverrのウェブデザイナーを検討すると良いでしょう。2,200円以下でWixのカスタムストアを制作してもらえます。
サポート
Wixのサポートは対応がかなり良いのですが、問い合わせ方法を見つけるのは大変です。ヘルプセンターにはアクセスしやすく、サポート記事が豊富に用意されています。テクニカルガイドはかなり詳しいため、基本的な質問はヘルプセンターで解決できるはずです。 しかし、サポートスタッフとやり取りするには3つのことを行う必要があります。- ログインした状態で、サポート記事を読み、質問の答えが分からないことを確認する。
- 記事の一番下で「お役に立ちましたか?」という質問に「いいえ」と答える。
- チャットボットに質問を説明し、それでも解決できなければスタッフに質問するオプションを選ぶ。
電話
Wixで「.store」「.monster」「.link」という珍しいドメインを取得できるか質問してみました。 電話は約1分でかかってきました。サポートスタッフは親切で丁寧に回答してくれたので、ほんの数分で質問の答えが分かりました。ヘルプセンターには取得できるドメイン拡張子の一覧があることが分かり、珍しいドメインが欲しい場合は他のドメイン登録サービスで取得する必要があるそうです。メールチケット
チャットボックスからメールを2回送信しました。 まず、MailchimpではなくAWeberやSendinblueなどのメールマーケティングサービスと連携すできるか質問したところ、約1時間で丁寧に回答してくれました。1時間かかったのは素晴らしいとは言えませんが、メールサポートとしてはまあまあ良いでしょう。他社だと回答に数日かかることもあったからです。 次に、技術的な質問を投げかけてみます。すべてのサイトがコンテナ化されているのか、DDoS攻撃などの対策はあるのか聞いてみたのです。他のWixサイトがハッキングされたり、アクセス数が急増したりした場合、私のサイトが影響を受けるかという質問でした。 今回は営業時間外にチケットを送信したため、返信に少し時間がかかりました。8時間後、以下のメールが届きました。質問に直接答えてくれたわけではありませんが、必要な情報が含まれていたので良いでしょう。価格
Wixのeコマースプランはかなり手頃でしょう。毎月の純利益が10,800円以上であれば、一番高価格のプランを選んでも黒字になります。 Wixのeコマースプランは3種類あり、一番安いビジネスプランは月額換算1850円以下です。利用期間分の料金が一括払いで請求されます。他にもビジネスプラスプランとビジネスVIPプランもあります。 eコマースプランは以下の機能が共通しています。- お客さんがアカウントを作成
- カスタムドメイン(最初の1年間は無料)
- 3,200円相当の広告クーポン(Google AdsやBing Adsなどに)
- 商品数が無制限
- カゴ落ちしたお客さんへメールを自動送信
- SNSでの販売
- 複数の通貨で販売
- 消費税計算の自動化(制約あり)
- Amazonなどのマーケットプレイスでの販売
- 配達の詳細オプション
- サブスクリプションや定期払い
- Smile.ioによるロイヤルティプログラム
- Modalystによるドロップシッピング(商品数は無制限)
- カスタムレポート・解析情報
Wixと競合他社を比較
eコマースプランを提供している他のサイトビルダーとWixを比較するとどうでしょうか? Wixはかなり優れていることが分かりました。 Squarespaceの方が効率が良いと思いますが、Wixは多数のサードパーティツールと連携できます。Wixはアプリが豊富でマーケティング機能も多いので、Squarespaceよりわずかに優れていると思います。 WeeblyもSquarespaceと同じでしょう。ただし、Weeblyの方がかなり安く、eコマースプラットフォームは無料プランでも利用できます(アメリカのみ)。 Shopifyはeコマースが専門ですから、さすがにWixは対抗できません。ネットショップを作成するならShopifyの方が圧倒的に優れていますが、Shopifyだとネットショップと普通のサイトを両方作成することはできません。他のサービスと併用することになります。 WordPressはWixの最大のライバルだと言えますが、いくつかプラグインをインストールする必要があります。レンタルサーバーに加入しなければならないWordPress.orgは、デフォルトでeコマース機能が搭載されていません。WordPress.comはレンタルサーバーなしで利用でき、支払いを受けることもできますが、ネットショップ作成のすべてのニーズに応えることはできません。 しかし、両方ともWooCommerceやJigoshopなどのECサイト用プラグインを利用できます。プラグインを利用すれば、自由自在にデザインでき、機能もカスタマイズできますが、プログラマーでなければ難易度は高めです。 また、BigCommerceとVolusionも検討する価値があります。どちらも素晴らしいサービスですが、Wixや前述のプラットフォームは個人向けサービスなのに対して、BigCommerceとVolusionは企業向けサービスだということに注意しましょう。Wix | Squarespace | Weebly | Shopify | WooCommerce | |
最低価格(ドル・月額換算) | 1900円以下 | $23.00 | $0 | $29.00 | $25.00 |
eコマーステンプレート | 100種類以上 | 5種類以上 | 15種類以上 | 60種類以上(うち9種類は無料) | 25種類以上(3種類は無料 |
商品数が無制限 | ○ | ○ | ○ | ○ | ✘ |
マーケティングツール | ○ | ○ | ○ | ○ | ✘ |
配達オプション(込みまたは割引) | ○ | ✘ | ✘ | ○ | ✘ |
チーム向けアカウント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
日本語で利用可能 | ○ | ✘ | ○ | ○ | △ |